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女性にとって解決すべき5つの柱です。一緒に考えてみましょう。
Ⅰ 月経のトラブル
Ⅱ 肥満と代謝
Ⅲ 更年期
Ⅳ 心とホルモンの不調
Ⅴ 器質的疾患(筋腫・腺筋症・内膜症)
● 実際の悩みとしてみられる症状は次の項目です。
1 月経痛(プロスタグランジン過剰)
2 月経不順(視床下部―下垂体―卵巣系の乱れ)
3 PMS(セロトニン低下・黄体期プロゲステロン変動)
4 過多月経・不正出血
● これらの科学的背景について考えてみますと、
①COX経路活性化 → PGF2α増加 → 子宮収縮・虚血痛
②エストロゲン優位(E2/P4バランス異常)
③ストレス → GnRH抑制 → LH/FSH変動
***分かりにくいのでもう少し詳しくお話しします(①、②、③の順です)。
① COX経路活性化 → PGF2α増加 → 子宮収縮・虚血痛
ポイントは 「痛くなってから」より「痛くなる前」 が効きやすいことです。
PGがピークになる前にCOXを抑えると、痛みの“波”自体を小さくできます。
よって、
● 解決アプローチ(西洋医学的)としては、
♦NSAIDs(COX阻害)
♦低用量ピル(EE+プロゲスチン)
♦黄体ホルモン補充
♦SSRI(重症PMS/PMDD)
●さらに関わりの深い点としては、
などが挙げられます。
次は② エストロゲン優位(E2/P4バランス異常)についてです。
“エストロゲン優位”は「量」より「バランス」が重要です(ここが誤解されやすいのですが)。
エストロゲンが高いか低いかだけでなく、エストロゲン(E2)に対してプロゲステロン(P4)が相対的に弱い、つまり、E2/P4バランスが崩れているという意味で使われることが多い。
なぜP4が重要か?
プロゲステロンには、ひと言でいえば「内膜の増殖にブレーキをかけ、炎症反応を鎮め、子宮を落ち着かせる」 役割があります。P4が十分に働くと
♦内膜は“成熟”に向かう(増えすぎない)
♦月経量が安定しやすい
♦子宮が過敏になりにくい
では、どういう状況で“優位”が起きるのでしょうか?
代表は 無排卵~黄体機能不全 の流れです。
♦ストレス、過度なダイエット、睡眠不足、過剰運動
♦PCOS傾向(排卵が起きにくい)
♦産後・授乳期の内分泌変化
♦更年期移行期(排卵が不規則)
排卵がなければ黄体ができない → P4が出ない → 内膜がE2の影響を受け続ける、という構図です。
ではこれが「筋腫・腺筋症・内膜症」とどうつながるのでしょう?
これら3つの病態は共通して「エストロゲン環境」で動きます。
♦筋腫:増殖因子・受容体の環境がエストロゲンで“育ちやすい”
♦腺筋症/内膜症:局所のエストロゲン産生(アロマターゼ活性)や炎症が絡み、病変が“活動的”になりやすい
つまり、治療でやっていることは多くの場合、
E2の刺激を下げる
P4(またはP4様作用)で内膜を抑える
排卵や月経を止めて病変の燃料を断つ
このどれか(または組み合わせ)です。
続いて、
女性ホルモンは「卵巣が勝手に出している」のではなく、上流に司令塔があります。
視床下部は、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌
下垂体はLH(黄体化ホルモン)/FSH(卵胞刺激ホルモン)を、
そして、卵巣はエストロゲン/プロゲステロンを分泌します。
ストレスが続くと、脳は「今は妊娠・出産どころじゃない」と判断しやすくなります。
すると、まず GnRHの“パルス(規則正しいリズム)”が乱れます。
GnRHはリズムがある!だから、
♦“出っぱなし”でもダメ
♦“適切な間隔のパルス”が大切であり、
♦パルスが乱れるということは → LH/FSHの出方が乱れる → 排卵が乱れる
ということになります。
その結果として、
♦排卵が遅れる(周期が延びる)
♦無排卵になる
♦黄体機能が弱くなる(P4不足)
♦月経前症状が強くなる(気分・睡眠も含む)
ストレス系(HPA軸**)ではCRH(視床下部)、ACTH(下垂体)、コルチゾール(副腎)というホルモンが動くので、コルチゾールが高止まりしやすい状態では、脳内でGnRH系が抑制されやすく、結果としてHPO軸が乱れやすい、という理解が臨床的に役立ちます(下記コラム参照)。
**HPA軸とは、Hypothalamus(視床下部)ーPituitary(下垂体)ーAdrenal(副腎)の頭文字です。
つまり、脳 → 下垂体 → 副腎というストレス反応の司令塔です。
●上のメカニズムに対し、薬剤は“どこを抑えるか”で整理すると分かりやすいと思います。
E.重症PMS/PMDDに、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)を用いる。
これは、PMS/PMDDは「女性ホルモンの量」そのものより、ホルモン変動に対する脳の感受性の問題である、という点が重要です。
黄体期(排卵後)にプロゲステロン上昇、その代謝物アロプレグナノロン上昇が起こります。
通常はこれが鎮静的に働きますが、一部の女性では GABA-A受容体の反応異常、セロトニン系の調節異常が起こり、イライラ・抑うつ・不安・衝動性・睡眠障害などが強く出ます。
月経前の強い気分変動や衝動性は、ホルモン量の異常ではなく、脳内セロトニンの調節異常が関与しています。
必要に応じて、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を用い、神経伝達を安定させます。
大丈夫です、何とかなるから!
① ストレスを感じると・・・
(心理的ストレス、睡眠不足、低血糖、慢性炎症など)
② 視床下部(H)が CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンCorticotropin Releasing Hormone) を出す。すると・・・
③ 下垂体(P)が ACTH (副腎皮質刺激ホルモン)を出す
すると・・・
④ 副腎皮質(A)が コルチゾールというホルモン を分泌します・・・
コルチゾールはどんなホルモン?
⇒コルチゾールの役割をあげますと、
♦血糖を上げる
♦炎症を抑える
♦交感神経を高める
♦覚醒を保つ、
つまり、コルチゾールは「生き延びるためのホルモン」なのです。
これは、短期的には有益です。
しかし、慢性ストレスではどうでしょう?
■コルチゾールが慢性的に高い、あるいはリズムが乱れると・・・
① GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が抑制される
② LH/FSHの分泌リズムが乱れる
③ 排卵が乱れる
④ プロゲステロン不足になる
結果として♦月経不順、♦PMS悪化、♦無排卵、♦不妊、♦エストロゲン優位状態
が起きやすくなります。
■なぜGnRHが抑えられるのか?
視床下部は「生存」を優先します。
慢性ストレス状態では脳はこう判断します。
「今は妊娠している場合ではない」
そのため、生殖軸(HPO軸)を抑えます。
つまり、HPA軸が強く働くと
HPO軸(視床下部―下垂体―卵巣軸)は抑制される
という“軸同士の拮抗”が起きます。
■臨床的に見るとどうなるか
よくあるパターンとしては、✔ 真面目、✔ 責任感が強い、✔ 睡眠不足、✔ 過度なダイエット、✔ 仕事と育児の両立ストレスがあり、 ♦月経不順、♦PMS悪化、♦黄体機能不全 などを惹起しやすい。
これは単なる「気のせい」ではなく、神経内分泌学的な現象です。
■数値で見るHPA軸としては~
♦早朝コルチゾール、♦DHEA-S、♦ACTH、♦血糖変動の測定などを行います。
慢性ストレスでは・コルチゾール高値型、あるいは逆に副腎疲労様の低値型の両方があります。
■婦人科疾患との関連をいうと、
HPA軸異常は♦月経不順、♦PCOS悪化、♦内膜症の疼痛増悪、♦更年期症状悪化、に関与します。
特に内膜症は、炎症 × ストレス × 免疫異常が絡むため、HPA軸の影響を受けやすい疾患です。
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